建築と街並みの備忘録
京都市京セラ美術館 ／ Kyoto City KYOCERA Museum of Art
設 計：青木淳＋西澤徹夫 ／ Jun Aoki + Tezzo Nishizawa
2020年にリニューアルされた京都市美術館です。以前から平安神宮周辺には何度も来ていましたが、失礼ながら、こんな建物（美術館）があったことには気付きませんでした。
リニューアルと言っても、外観はほぼそのままです。
その最大のポイントは動線を分かりやすくしたこと。美術館の中を貫くようにメインの軸が明確にされていました。館内に入るとエントランスロビーがあり、その先は今回のリニューアルの象徴ともなった中央ホールにつながります。このホールはかつては展示室でしたが、余分な装飾は取り除き、元からのデザインを出来るだけ活かしながら、柔らかく明るい空間がつくられていました。このホールは３つの展示エリアのハブとしての機能もあります。
さらにホールを進むと、個人的にこの美術館の白眉だと思う場所があります。以前は閉ざされていた東玄関が開け放たれ、奥に広がる日本庭園がドアの枠によって額縁のように切り取られて、まるで大きな絵画のように見えました。この庭園は以前からあったそうですが、あまりその存在を知られていなかったようです。
今回のリニューアルによって、この美術館は建築的にはスゴく魅力的になりましたが、それは元々この建物が持っていた力でもあります。そこに気付き、再生させた建築家たちも素晴らしいですね。あとは作品や企画力に期待します。
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